配偶者居住権の評価額(価値)は、建物の固定資産税評価額などをベースに、配偶者の平均余命や建物の耐用年数、法定利率(利息)などを考慮して計算します。
具体的には、「配偶者居住権」そのものの価値と、居住権が設定された「建物の所有権(負担付所有権)」の価値をそれぞれ算出し、土地についても同様に「敷地利用権」と「敷地所有権」に分けて計算します。
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1. 建物(配偶者居住権)の計算方法
配偶者居住権の価値は、「建物の時価(固定資産税評価額)」から「居住権が消滅した時点での残存価値(現在価値に引き直したもの)」を差し引いて求めます。
配偶者居住権が「終身(亡くなるまで)」に設定されている場合の標準的な計算式は以下のとおりです。
配偶者居住権の評価額 = 建物の時価 – 建物の現在価値
具体的には、以下の手順・計算式で算出します。
① 建物の現在価値の算出
建物の現在価値 = 建物の時価 ×( 存続年数に応じた残存耐用年数 ÷ 本来の残存耐用年数 )× 複利現価率
- 建物の時価:相続開始時の建物の固定資産税評価額
- 本来の残存耐用年数:建物の法定耐用年数 =(法定耐用年数 × 1.5)- 築年数
- 存続年数に応じた残存耐用年数:残存耐用年数から「配偶者居住権の存続年数(配偶者の平均余命)」を引いた年数
- 複利現価率:存続年数(平均余命)の期間に発生する利息(法定利率3%)分を割り引くための係数
② 配偶者居住権の価値の算出
建物の時価から上記の「建物の現在価値」を引いた差額が、配偶者居住権の評価額となります。
2. 土地(敷地利用権)の計算方法
土地自体に配偶者居住権を設定することはできませんが、建物に居住権が設定されると、土地を無償で使用する権利(敷地利用権)が発生します。土地の価値も以下のように分割して算出します。
敷地利用権の評価額 = 土地の時価 -( 土地の時価 × 複利現価率 )
- 土地の時価:相続税路線価などで評価した土地の価格
- 複利現価率:配偶者の平均余命(存続年数)に対応する法定利率の複利現価率
計算に必要な4つの要素
- 固定資産税評価額(建物)・相続税評価額(土地)毎年送られてくる課税明細書などで確認できます。
- 配偶者の平均余命厚生労働省が公表する「簡易生命表」に基づき、相続開始時の配偶者の年齢に対応する平均余命(存続年数)を使用します。
- 建物の耐用年数・築年数木造(法定耐用年数22年)やRC造(47年)など、構造によって異なります。
- 法定利率(複利現価率)民法上の法定利率(現在は年3%)に基づいた係数表を用いて算出します。
補足と注意点
実際の税務申告や遺産分割協議で評価額を試算する際は、構造や築年数による複雑な補正計算が必要になります。正確な金額の算出にあたっては、法務省や国税庁が提供している評価シミュレーションシートを活用するか、税理士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。