自筆証書遺言書保管制度について

遺言

1. 遺言書保管制度とは?

自分で手書きする「自筆証書遺言」を、法務局(遺言書保管所)が預かり、画像データと原本の両方で安全に保管してくれる制度です。

これまで自筆証書遺言といえば「自宅の引き出しや金庫に隠しておく」のが一般的でしたが、紛失や改ざんのリスクが常に付きまとっていました。この制度の登場により、それらのリスクを格段に減らすことができるようになりました。

2. この制度を利用する4つのメリット

① 紛失・隠匿・改ざんを防げる

遺言書は法務局で厳重に管理されるため、紛失の心配がありません。また、悪意のある親族によって破棄されたり、中身を書き換えられたりするリスクをゼロにできます。

② 家庭裁判所の「検認」が不要になる(最大のメリット)

通常、自宅で保管されていた自筆証書遺言は、死後に家庭裁判所で「検認」という手続きを踏まなければ開封できません(数ヶ月かかることもあります)。しかし、この制度を利用していれば検認が不要になり、残された家族はスムーズに相続手続きを進められます。

③ 形式的な不備をその場でチェックしてもらえる

法務局の職員が、日付の有無や署名・押印など、法律で定められた「外形的な形式」を満たしているか確認してくれます。「せっかく書いたのに形式不備で無効になった」という悲劇を防げます。(※遺言の内容自体が有効かどうかを判断するものではありません)

④ 家族への通知システムがある

遺言者が亡くなった後、あらかじめ指定しておいた人(死亡時通知対象者)に、法務局から「遺言書が保管されています」と通知がいく設定が可能です。これにより、家族に遺言書の存在を気づいてもらえないリスクを防げます。

3. 利用前に知っておきたいデメリット・注意点

  • 本人が直接法務局に行く必要がある病気や高齢などで法務局へ出向くのが難しい場合でも、代理人による申請は原則認められていません(必ず本人が出向く必要があります)。
  • 内容の法的な有効性を保証するものではない形式的なチェックはしてくれますが、「内容が不公平だから揉める」「遺留分を侵害している」といった、中身のトラブルまでを防ぐことはできません。
  • 手数料がかかる申請時に保管手数料(1件につき3,900円)がかかります。

4. 手続きの4ステップ

制度を利用する際の大まかな流れです。

  1. 遺言書を作成する法務局が指定する様式(余白のサイズなど)に従って、自筆で遺言書を作成します。
  2. 保管する法務局を選び、予約する自分の住所地、本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する「遺言書保管所(法務局)」を選び、事前の相談・申請予約を行います。
  3. 法務局へ行き、申請する予約日に必ず本人が以下のものを持って法務局へ行きます。
    • 遺言書(ホチキス留めはしない)
    • 申請書
    • 添付書類(本籍地記載の住民票の写しなど)
    • 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
    • 手数料(3,900円分の収入印紙)
  4. 保管証を受け取る手続きが完了すると、「保管証」が交付されます。これには遺言者の氏名や出生の年月日、遺言書が保管されている法務局の名称などが記載されています。

5. まとめ:どんな人におすすめ?

法務局の遺言書保管制度は、「公正証書遺言を作るほどではないけれど、自宅に置いておくのは不安」「家族の手間や負担をできるだけ減らしたい」という方に最適な制度です。

わずか3,900円で大きな安心を買うことができ、死後の家族の負担(検認の手間など)を大幅に軽減できます。「終活を始めよう」と思っている方は、ぜひ選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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