「亡くなった親の通帳が全然見つからない……」
「どこの銀行に口座を持っているか、まとめて調べる方法はないの?」
相続が発生した際、多くの方が直面するのが「故人の口座探し(財産調査)」です。これまでは、怪しい銀行の窓口を1軒ずつ回って地道に調べるしかありませんでした。
そんな中、2025年4月からスタートした画期的な新制度が「相続時口座照会(相続時預貯金口座照会)制度」です。
「これを使えば、一発で全部の口座がわかるの?」と期待が高まりますが、実は実務上、非常に大きな「落とし穴」もあります。今回は、この新制度の仕組みと、知っておくべき注意点を分かりやすく解説します。
相続時口座照会制度とは?(ざっくり言うと「一括検索サービス」)
相続時口座照会制度とは、相続人がメインバンクなどの金融機関の窓口に申し込むことで、全国の銀行や信用金庫などに「亡くなった人の口座がないか」を一括で問い合わせてくれる仕組みです。
制度の流れ
- 相続人が、対応している金融機関(受付窓口)に申し込む
- 受付銀行が「預金保険機構」という国の機関に調査を依頼する
- 預金保険機構が全国の金融機関を横断的に調べる
- 約1ヶ月後、相続人の自宅に「〇〇銀行〇〇支店に口座があります」という結果がハガキで届く
これまでのように、銀行ごとに何通も戸籍を集めて足を運ぶ必要がなくなるため、一見すると夢のような制度です。
知っておくべき「3つの大きな落とし穴」
非常に便利に見える新制度ですが、2026年現在、現場では「期待して使ったけれど、思ったより使えなかった……」という声も少なくありません。その理由は、以下の3つの制限があるからです。
マイナンバーに「紐づいている口座」しか見つからない
これが最大の弱点です。この制度で検索できるのは、亡くなった方が生前に「マイナンバーと口座を紐づける手続き(預貯金口座付番)」を済ませていた口座だけです。
特に高齢の方の場合、この紐づけをしていないケースが非常に多く、その場合は口座が実際にあったとしても、結果は「該当なし」になってしまいます。
2. 口座の「残高」まではわからない
ハガキで通知されるのは、あくまで「口座の有無(銀行名・支店名・口座番号など)」だけです。
「いくら貯金が残っているか」までは教えてくれません。そのため、口座の存在が分かった後は、結局その銀行へ個別に「残高証明書」を請求しに行く必要があります。
3. 「空振り」でも手数料(5,060円)がかかる
この制度を利用するには、1回あたり5,060円(税込)の手数料がかかります。
もし、亡くなった方がマイナンバーの紐づけをしていなかったために「口座は1つも見つかりませんでした」という結果になったとしても、この手数料は戻ってきません。
この制度を使うべきなのはどんな人?
メリットとデメリットを踏まえると、この制度をあえて使うべきなのは以下のようなケースです。
- 亡くなった親が、スマホやマイナポータルを使いこなしていた場合(進んで口座とマイナンバーを紐づけていた可能性が高いため、使う価値があります)
- 家の中をいくら探しても、手がかり(通帳や郵送物)が文字通り「ゼロ」の場合(5,060円の手数料を払ってでも、最初のヒントが欲しいとき)
逆に、昔ながらの紙の通帳を使っていて、マイナンバーの登録にも消極的だった世代の方の口座を探す場合は、この制度を使っても「空振り」に終わるリスクが高いと言えます。
行政書士からのアドバイス
2025年に始まった「相続時口座照会制度」は画期的な一歩ですが、まだ「これさえやれば100%安心」と言える段階ではありません。
「新制度を使うべきか迷う」「平日に銀行の手続きをする時間がない」という方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。あなたのご家庭に合った最適な調査方法をご提案いたします。
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