「遺言書」と聞くと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
「お金持ちが書くもの」「まだ先の話」「なんだか縁起が悪い…」そんなイメージをお持ちなら、少しもったいないかもしれません。
実は、遺言書に対する誤解のせいで、残されたご家族が大変な思いをするケースは後を絶ちません。今回は、遺言書にまつわるよくある7つの誤解を解き明かしていきます。
誤解1:「うちは家族仲が良いから、遺言なんて必要ない」
揉め事は「仲が良い家族」でも起こります
「うちは円満だから大丈夫」と多くの方が考えます。しかし、いざ相続が始まると、お金そのものよりも「感情のすれ違い」「それぞれの生活や事情(配偶者の意見など)」によって関係がこじれてしまうことが少なくありません。
遺言書は、残された家族が「どう分ければいいんだろう…」と悩んだり、話し合いで気まずい思いをしたりしないための最高のお守りになります。
誤解2:「遺言が必要なほどの大した財産がない」
相続トラブルの多くは「ごく普通の家庭」で起きています
裁判所のデータでも、相続トラブル(遺産分割事件)の約7割は資産1,000万円以下の家庭で起きています。
特に「自宅(不動産)」と「少額の預貯金」しかない場合、不動産は綺麗に切り分けることが難しいため、かえって揉めやすいのです。「分けにくい財産がある」ご家庭こそ、遺言書による具体的な指定が必要です。
誤解3:「遺言を書くなんて縁起が悪い」
家族への「ラストメッセージ(感謝)」を伝える温かい手段です
遺言書を「死の準備」と捉えると縁起が悪いと感じるかもしれません。しかし実際は、「これまでありがとう」「これからも仲良く暮らしてね」という家族への想いを形にするポジティブな行動です。
感謝の言葉や、なぜその分け方にしたのかという「理由(付言事項)」を添えることで、残されたご家族の心に深く寄り添うことができます。
誤解4:「まだ若いし、遺言を残すには早い」
元気で判断力がある「今」だからこそ書く意味があります
人はいつ病気や事故に遭うか分かりません。また、高齢になって認知症などが進行すると、意思能力がないと判断され、遺言書を作成できなくなってしまうリスクがあります。
遺言書は何度でも書き直すことができるため、「今の自分の意思」を元気なうちに書き残しておくことが大切です。
誤解5:「遺言を残したら、自分の財産が自由に使えなくなってしまう」
生きているうちは、今まで通り自由に使えます
遺言書は、あくまで「亡くなった効力が生じた瞬間」に効力を発揮するものです。
遺言書を書いた後であっても、自分の財産を売却したり、趣味に使ったり、寄付したりすることは完全に自由です。もし財産の内容が変わったら、遺言書を書き直せば問題ありませんし、遺言の内容と抵触する生前処分(売買や譲渡など)の行為は、遺言を撤回したものとみなされる。(民法1023条)ので心配ありません。
誤解6:「遺言を残すと、子どもに見捨てられてしまうかも…」
内容を秘密にすることも、撤回ことも可能です
「先に遺言の内容を伝えると、子どもが冷たくなるのでは」と心配される方もいます。しかし、遺言書の内容は生前に誰かに教える必要はありません(秘密にしておくことができます)。
また、いつでも破棄・撤回することもできます。(民法10264条・1024条)
誤解7:「自分が死んだ後、本当に遺言通りにしてくれるか不安」
「遺言執行者」を指定しておけば、確実に実現されます
自分が亡くなった後、遺言通りの手続きがスムーズに行われるか不安な場合は、遺言書の中で「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」を指定しておきましょう。
条件付きの指定をすることも可能なので、上手に活用すればむしろ安心材料になります。(負担付遺贈:民法1002条)
信頼できるご親族や、弁護士・行政書士などの専門家を遺言執行者に選んでおくことで、あなたの代わりに責任を持って手続き(預貯金の解約や不動産の名義変更など)を完了させてくれます。
おわりに
遺言書は、決して「特別な誰か」のためだけのものではありません。残される大切なご家族が路頭に迷わないため、そして何よりあなた自身の安心した人生を送るためのものです。
何から手を付けていいか迷うなら行政書士がお手伝いできます。ぜひご相談を。
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