飲食店を開業するにはこんな許可申請や届出が必要です!

飲食店を開業しようと準備を進める中で、「結局、うちは何の許可や届出が必要なんだろう?」「いつどこへ出せばいいの?」と悩むオーナー様は非常に多くいらっしゃいます。

飲食店開業に必要な手続きは、提供するメニュー・営業形態・店舗規模・雇用の有無によって大きく変わります。提出を怠ると、最悪の場合「無許可営業」となり、開店延期や罰則につながる恐れもあります。

今回は、飲食店を開業する際に必要となる主な許可申請・届出を、「提出先行政機関別」にまとめました。準備のスケジュール確認にぜひご活用ください!

1. 保健所(全店舗必須・最優先)

飲食店のオープンで最も重要かつ必須となるのが保健所の手続きです。店舗の内装工事を着工する前の図面段階で事前に相談に行くのがスムーズです。

・飲食店営業許可申請(必須)

対象:すべての飲食店
タイミング:オープン予定日の2〜3週間前(申請後に保健所による実地検査があります)

喫茶店営業に関しては、2021年6月の改正食品衛生法が施行されたことにより「喫茶店営業許可」という区分の名称が廃止され、「飲食店営業許可」に一本化されました。

・菓子製造業許可(該当する場合)

対象:パンや洋菓子・和菓子などを製造してテイクアウト販売する場合
※ 店内で提供するには「飲食店営業許可」が必要になります

ポイント:2021年の改正食品衛生法により「1施設1許可」を基本とする見直しが行われ、菓子製造業や食肉販売業の許可範囲が拡大されました。
自家製の焼き菓子やパン+ドリンク程度のカフェ・イートインであれば、「菓子製造業」のみでカバーできるケースがほとんどです。

・食肉販売業 / 魚介類販売業許可など(該当する場合)

対象:未調理の生肉や生鮮魚介類をそのままテイクアウト・店頭販売する場合

精肉店や鮮魚店には必要ですが、調理した料理を提供するお店には必要ありません。ですが本業が精肉店で店内で飲食スペースを設ける場合には「飲食店営業許可」が必要になります。

・食品衛生責任者の設置・届出(必須)


対象:店舗ごとに1名以上の設置が必要
要件:調理師や栄養士など有資格者、または各都道府県の「食品衛生責任者養成講習会」を受講した者

2. 消防署(店舗設備・建物関係)

店舗設備や火気の使用状況、収容人数に応じて届出が必要です。

  • 防火対象物使用開始届(ほぼ必須)
    • 対象:建物やテナントの使用を開始するすべての店舗(居抜き物件を含む)
    • タイミング:使用開始の7日前まで
  • 防火対象物工事等計画届 / 火を使用する設備等の設置届(該当する場合)
    • 対象:内装工事や間仕切りを行う場合、または大型の厨房機器(ガステーブル、コンロ、フライヤーなど)を設置する場合
    • タイミング:工事着手・設置の7日前まで
  • 防火管理者選任届 & 消防計画作成届(該当する場合)
    • 対象:収容人数が30人以上(客席数+スタッフ数)となる店舗
    • 要件:防火管理者講習(甲種または乙種)の受講が必要

3. 警察署(営業スタイル・時間帯関係)

夜間の営業形態や接客のスタイルによっては、警察署への届出や許可が必要になります。書類の不備や確認に時間がかかるケースが多いため、早めの動向が肝心です。

  • 深夜における酒類提供飲食店営業開始届出(該当する場合)
    • 対象:午前0時〜午前6時の深夜時間帯に、お酒をメインとして提供する店舗(居酒屋、バーなど)
    • タイミング:営業開始の10日前まで
    • ※ラーメン店やファミリーレストランなど「主食(食事)メイン」の場合は深夜営業でも不要です。また、用途地域(住居専用地域など)によっては届出ができない場所もあります。
  • 風俗営業許可(1号許可など)(該当する場合)
    • 対象:スタッフが客席に同席して接待を行う場合(スナック、キャバクラ、ガールズバーなど)や、店内を極端に暗くする照明・小個室を設ける場合
    • タイミング:営業開始の約2ヶ月前(標準処理期間が約55日かかるため)

4. 税務署・都道府県・市区町村(税務・事業開始関係)

個人事業主として始めるか、会社(法人)を設立して始めるかによって手続きが異なります。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
    • 対象:個人事業主として開業する方全員
    • タイミング:開業日から1ヶ月以内
  • 所得税の青色申告承認申請書(任意・強く推奨)
    • 対象:最大65万円の特別控除など、税制上の優遇を受けたい個人事業主
    • タイミング:開業日から2ヶ月以内(またはその年の3月15日まで)
  • 法人設立届出書 / 事業開始等申告書(法人の場合)
    • 対象:法人を設立して飲食店を運営する場合
    • 提出先:管轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役場

5. 労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所(雇用関係)

パート・アルバイトを含め、スタッフを1人でも雇用する場合は労働保険や社会保険の手続きが必要になります。

  • 労働保険(労災保険)成立届・概算保険料申告書(労働基準監督署)
    • 対象:従業員(アルバイト含む)を1人でも雇う場合
    • タイミング:雇用した日から10日以内(成立届)
  • 雇用保険 設置届・資格取得届(ハローワーク)
    • 対象:週20時間以上かつ31日以上雇用する見込みのスタッフがいる場合
    • タイミング:事業所設置の翌日から10日以内
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)加入手続き(年金事務所)
    • 対象:法人店舗(必須)、または常時5人以上の従業員を雇用する個人事業店舗

6. テイクアウト・ボトル販売等の特殊なケース

  • 一般酒類小売業免許 / 期限付酒類小売業免許(税務署)
    • 対象:未開栓のボトルや缶のお酒を「持ち帰り用」として小売り販売する場合
    • ※店内でグラスに注いで提供する分には免除されます。

スムーズな開業に向けたスケジュールのコツ

飲食店開業の手続きは、以下のような流れで進めるのがベストです。

  1. 物件内装の設計段階(着工1ヶ月前〜)
    • 保健所・消防署へ図面を持参し、設備基準を満たしているか事前相談
  2. 施工中〜オープン2〜3週間前
    • 保健所へ「飲食店営業許可」を申請
    • 消防署へ各種届出を提出
  3. オープン10日〜7日前
    • 警察署へ「深夜酒類提供飲食店」の届出(必要な場合)
    • 保健所の実地検査を受け、営業許可証の発行を待つ
  4. オープン後
    • 税務署へ「開業届」を提出
    • 労基署・ハローワークへ雇用関連の手続きを提出

まとめ

飲食店の開業には、多くの行政機関へ多種多様な届出が必要です。特に店舗工事が始まってから「保健所の基準を満たしていなかった」「警察への届出が間に合わず深夜営業ができない」といった事態になると、大きな損失に繋がりかねません。

ご自身の店舗のコンセプトや営業形態(メニュー・営業時間・販売方法)に何が必要なのかを事前に整理し、スケジュールに余裕を持って準備を進めていきましょう!

申請の専門家である行政書士に相談いただくことをお勧めいたします!